『等身の棋士』

 

北野新太 著『等身の棋士』ミシマ社

 こう見えても私は小学校のときに「囲碁将棋クラブ」に入っていたことがあります。当時の腕前は、周りの友だちに負けない程度のものだったのですが、男の子とはすぐに調子に乗る生きもの。根拠のない自信だけがありました。一つ上の学年のT先輩と対局するまでは。

 T先輩は、当時県内トップクラスの少年棋士で、私は「飛車角落ち+α」のハンディをもらっても、まったく歯が立ちませんでした。そして何より、自信を失ったのは、そのT先輩でもまだまだ勝てない相手がいると聞いたことでした。

 本書では、藤井聡太さんや羽生善治さんとのやりとりも書かれているのですが、棋士の皆さんは、私から見れば過剰なほど謙虚な印象を受けます。T先輩もそうだったのですが、勝っても自慢したり、相手を馬鹿にすることは決してなかったです。

 ちなみにその後の私ですが、次は「ゲートボールクラブ」に入りました。今では信じられないと思いますが、土曜(日曜)の朝は、全国のみんなが『おはよう!ゲートボール』というテレビ番組を見ていた時代があったのです。こういう子は、棋士に向いていないのは確かなようです。

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